藤原 藤原

こんにちは、藤原です。

「キオクシアがトヨタを抜き、日本で最も時価総額の高い企業に」

日本経済新聞の記事に見えるページから、そんな見出しで案内されていたのがKaiveruという投資サービスです。

私のメールにも「日経の記事で紹介されていたAI投資は本物か」という相談が届いていました。

⚠️ 保存された広告と公式サイトを最後まで確認した結果、Kaiveruに氏名や電話番号を入力するのは危険だと判断しました。

藤原 藤原

記事に見える形をしていますが、日本経済新聞のページではありません。

「まだ見ただけ」の方も、「もう電話番号を入れてしまった」方も

入金していなければ、まだ被害は出ていません。

すでに担当者から電話が来ているなら、その内容を私に送ってください。

Kaiveruの広告は日本経済新聞を模した偽の記事だった

Kaiveruの広告は、日本経済新聞の題字とデザインをそのまま使った偽の記事でした。

保存された広告のページを開くと、こうなっています。

日本経済新聞の題字とトップ・朝刊夕刊・速報・マーケットのナビゲーションを再現し、「キオクシアがトヨタを抜き、日本で最も時価総額の高い企業に。670%の成長の裏に隠されたものとは?」という見出しを掲げたページ。URLはalderionme.comと表示されている

題字も、上部のメニューも、お申し込みとログインのボタンまで再現されています。

ですが画面下部のURLはalderionme.comで、日本経済新聞のドメインではありません。

記事の中身自体は、事実にもとづいた部分があります。

記事の記載事実かどうか
キオクシアが時価総額でトヨタを抜いた2026年6月12日に実際に起きた
株価が年初来670%上昇実際に大幅な上昇があった
キオクシアがAI取引ツールを一般公開確認できない
Kaiveruがキオクシアの技術で動く確認できない

本当のニュースの上に、確認できない話を継ぎ足す作りになっていました。

キオクシアの社長の名前で談話が載せられている

記事の中ほどには、社長の談話まで掲載されています。

「キオクシアホールディングス ヒロオ・オオタ社長の言葉」という見出しと、「このツールは社内用に開発したものですが、一般の日本人の方々にも役立つと気づきました」という談話を載せた囲み。末尾に「ヒロオ・オオタ、キオクシアホールディングス社長」と署名がある

ヒロオ・オオタという名前で、談話が載せられていました。

キオクシアホールディングスの社長は、2026年4月に太田裕雄さんへ交代しています。

つまり実在する上場企業の、実在する現職社長の名前が使われている形です。

キオクシア側がこの広告を出しているという事実は、まったく確認できませんでした。

キオクシアの側に落ち度はありません。

名前を無断で使われた側だと考えるのが自然です。

藤原 藤原

本物の会社の名前を借りると、疑う気持ちが一気に下がります。

同じページには、経歴を図にしたものも載っていました。

Kaiveruの広告に載る年表は上場した年も時価総額も違う

広告に載っているキオクシアの年表は、事実と食い違っています

その図がこちらです。

「キオクシアの歩み フラッシュメモリからAI革命の旗手へ」と題した年表。2025年12月18日に東京証券取引所にIPO、時価総額4.9兆円でスタートと書かれ、2026年にAI Tradingプラットフォーム始動と書かれている

⑥の欄には、2025年12月18日に東京証券取引所へIPOし、時価総額4.9兆円でスタートしたと書かれています。

実際の上場は2024年12月18日で、初値時点の時価総額は7,762億円でした。

年表の記載実際
2025年12月18日にIPO2024年12月18日に上場
時価総額4.9兆円でスタート初値時点で7,762億円
2026年にAI Tradingを始動そのような発表は確認できない

日付が1年ずれ、金額が6倍以上に膨らんでいます。

本文では「上場から18カ月後」と書いているので、年表とも矛盾しています

記事らしく見せることだけを優先して作られた図です。

検証日記まで用意されている

記事の後半には、記者が7日間試したという日記まで載っていました。

「7日間の検証日記」として、初日に残高が4%増え、3日後に10%増え、7日目には約15%に達したうえで出金も問題なく完了したと書かれた記事本文

7日で15%増え、出金も遅延なく完了した、と書かれています。

書いた記者の名前も、口座の画面も、取引の記録も出てきません。

読み物としてよくできているだけで、確かめられる部分が一つもありません。

もう1種類、まったく違う作りの広告も用意されていました。

Kaiveruの別の広告は実在する経営者の名前を使っている

同じ時期に配られていたもう1つの広告では、実在する経営者とジャーナリストの名前が使われていました。

まず、その広告のトップ画面がこちらです。

「1日に141,257円から318,967円を稼ぐ投資プラットフォームを使用して」という見出しと、名前・姓・メールアドレス・電話の入力欄、そして「残り枠46」の表示があるページ

1日に14万円から31万円を稼ぐ、と書かれています。

そして「残り枠46」という表示が、全ページの同じ位置に固定されていました。

減っていく演出すらしていない、ただの画像です。

その下に、支援者として紹介されている人物が出てきます。

「私たちを支援するリーダー」として、楽天創業者兼CEOの名前で「このシステムを発見してから3週間後、私は3.2億を投資しました」という談話を載せたページ

楽天の創業者の名前と顔写真で、3.2億円を投資したという談話が載っています。

ご本人がKaiveruに関わっている事実は、どこにも確認できません。

さらに次のページには、別の人物も登場しました。

「私はこのプラットフォームを数年前から使用していますが、投資は受動的な収入を得るための最良の方法だと言えます」という談話を、テレビ司会者兼ジャーナリストという肩書きで載せたページ

こちらはジャーナリストの名前と顔写真でした。

この方についても、Kaiveruとの関係を示す情報は見当たりません。

広告に登場する名前肩書きの表記本人の関与
キオクシアの社長キオクシアホールディングス社長確認できない
楽天の創業者楽天創業者兼CEO確認できない
ジャーナリストテレビ司会者兼ジャーナリスト確認できない

いずれの方も、本人が関わっている事実は確認できませんでした。

国民生活センターは著名人を名乗る投資勧誘についての発表資料で、この種の相談が前年比9.6倍に増えたと公表しています。

金融庁も著名人を騙る者からの投資勧誘への注意喚起を出しています。

同じく金融庁のSNS上の投資勧誘の手口の解説には、実在の企業名を使う例も挙げられています。

藤原 藤原

名前を使われた側も、気づかないまま被害者になっています。

その広告が、今どうなっているのかを確認しました。

Kaiveruの広告ページは8日で消えて別の商品に変わった

8月3日に保存された広告は、8日後にはどれも表示されなくなっていました

3つのページを今日あらためて開いた結果を、表にします。

広告のページ8月3日8月11日
1つ目偽の日経記事ページごと消えた
2つ目Kaiveruの申込ページ募集終了の表示だけ
3つ目Kaiveruの申込ページ別の商品へ飛ばされる

3つ目を開くと、いまはBit Ai Appという別の商品へ飛ばされます。

「1日に141,257円から318,967円を稼ぐ投資プラットフォームを使用して」と書かれたKaiveruの申込ページ。現在は表示されなくなっている

同じ広告の枠が、別の商品に差し替えられている形です。

広告のページだけを次々に使い捨てて、受け皿のサイトは残すやり方になります。

今日リンクが切れていても、明日は別のドメインで同じ広告が回ります。

参加方法は氏名と電話番号だけで入金は4万円から

広告には、申し込みの流れも書かれていました。

Kaiveruの参加方法として、公式サイトで氏名と電話番号のみを入力し担当者からの電話を待ったうえで最低金額40,000円を入金するという4ステップと、申し込み受付は2026年08月04日までという記載

入力するのは氏名と電話番号のみで、そのあと担当者から電話が来る流れです。

最低入金額は40,000円と書かれていました。

そして「申し込み受け付けは2026年08月04日まで」という一文も入っています。

その期限を過ぎた今日も、サイトは普通に動いています。

もし電話番号を入力してしまった方がいたら、まだ入金していなければ被害は出ていません。

出るとしたら、これから来る電話のほうです。

どんな話をされたのかを、そのまま私に送ってください。

Kaiveruの公式サイトには会社名も所在地も書かれていない

公式サイトを最後まで読んでも、運営している会社の名前が一度も出てきませんでした。

トップページは、こういう作りになっています。

「AI主導の取引プラットフォーム 取引をAIの精度で」という見出しと、ポートフォリオ概要として141,280ドルの残高を表示したKaiveruの公式サイトのトップ画面

安全、監査済み戦略、規制された環境、という言葉が並びます。

どこの規制なのかは書かれていません。

会社概要のページを開くと、数字だけが並んでいました。

Kaiveruの会社概要ページ。7年の市場での年数、48,000人の世界のアクティブ顧客、8か国で120人の従業員、21億ドルの管理する取引高という数字が並んでいる

7年、48,000人、120人、21億ドル、という数字です。

会社概要に書かれていること書かれていないこと
市場での年数7年会社名
アクティブ顧客48,000人所在地
8か国で従業員120人登記番号
管理する取引高21億ドル代表者名

会社名が分からないので、国税庁の法人番号公表サイトで検索することもできません

金融庁の無登録で金融商品取引業を行う者の名称等も確認しましたが、Kaiveruの名前はありませんでした。

掲載がないのは、安全という意味ではなく、まだ把握されていないだけと考えるべきところです。

フッターにドイツ語がそのまま残っている

もう一つ、作りの粗さが出ている場所がありました。

Kaiveruの会社概要ページの最下部。日本語のメニューの下に「© 2026 Kaiveru. Alle Rechte vorbehalten.」とドイツ語で表記されている

日本語のページの一番下に、Alle Rechte vorbehaltenと書かれています。

ドイツ語で「無断複写・転載を禁じます」という意味です。

トップページだけは日本語に直っていて、下層ページは直し忘れている状態でした。

もとは別の言語で作られたひな形を、日本語に置き換えて使っていることになります。

藤原 藤原

日本の会社が日本人向けに作ったサイトなら、こうはなりません。

料金の設定も確認しました。

Kaiveruの料金は3つのプランで最高5,000ドル

料金は、250ドルから5,000ドルまでの3プランが用意されていました。

料金ページはこうなっています。

Kaiveruの料金プランのページ。STARTERが250ドル、PROが1,000ドル、ELITEが5,000ドルの一括で、それぞれAIシグナルやサポート内容が並んでいる

いずれも一括払いで、上のプランほどサポートが手厚いという説明です。

プラン価格内容
STARTER250ドル基本のAIシグナル・5取引商品
PRO1,000ドル高度なAIシグナル・専任担当
ELITE5,000ドル専任マネージャー・カスタム戦略

日本円にすると、およそ3万7,000円から74万円です。

藤原 藤原

金額そのものは、投資の商材として飛び抜けて高いわけではありません。

お金を払って運用を任せること自体は、珍しいことではありません。

問題は、払う相手の名前が分からないことのほうです。

84日で1,277%になると表示する計算機がある

トップページには、利益を計算する機能まで付いていました。

Kaiveruのトップページにあるリターン計算機。入金10,500ドル、期間84日で、利益134,068ドル、合計144,568ドル、1,277%と表示されている

入金10,500ドル、84日で利益134,068ドル、と出ます。

3か月弱で資産が13倍になる計算です。

下に小さく「過去の実績は将来の結果を保証しません」と添えられていました。

その一文があっても、13倍という数字が出る計算機を置いている事実は変わりません。

国民生活センターの暗号資産に関する相談の傾向でも、高い利回りを示されて入金した相談が続いています。

Kaiveruと同じ作りのサイトが会計事務所として存在する

Kaiveruとまったく同じひな形のサイトが、別の商売でも使われていました。

広告と一緒に案内されていたドメインを開くと、こうなります。

宮崎県日南市を拠点に記帳代行や法人税申告を行うと案内するナヴレコ会計事務所のサイト。Kaiveruの公式サイトと同じ配色とレイアウトが使われている

宮崎県日南市のナヴレコ会計事務所という会計事務所のサイトです。

顧問先412社、年間申告件数1,860件、継続率98.2%といった数字が並びます。

配色もレイアウトも、Kaiveruの公式サイトとまったく同じでした。

比べた項目Kaiveruナヴレコ会計事務所
配色オレンジと生成り同じ
レイアウト同じひな形同じ
数字の見せ方4つの実績カード同じ
事業者名の表記なし事務所名のみ

同じ道具で、業種だけを変えたサイトが量産されている状態です。

会計事務所のほうも、税理士の氏名や登録番号は見当たりませんでした。

藤原 藤原

中身を入れ替えれば、どんな業種のサイトでも作れてしまいます。

利用した人の声も探しました。

Kaiveruの口コミ・評判は利用者の声が1件も出てこない

実際に使った人の口コミは、日本語で探しても英語で探しても1件も見つかりません

サイト上には、利用者の声とメディアの名前が並んでいます。

「48,000人を超える満足顧客」としてTechCrunch、Forbes、Bloomberg、CoinDesk、Reutersのロゴを並べ、その下に日本人名の推薦文を3件載せたKaiveruの公式サイト

TechCrunchやForbesといった名前が並んでいました。

ただし、その媒体の記事へのリンクは1本もありません。

偽の記事のほうには、コメント欄まで用意されていました。

偽の記事の下部にあるコメント欄。タケシさん、ヒロシさん、リカさんといった名前で「5万円を入金したら1カ月後には6万2千円ありました」などの書き込みが並び、いいねの数と時間が表示されている

34分前、1時間前、2時間前と、投稿時刻まで作り込まれています。

私のLINEには、こんな相談が届いています。

日経の記事だと思って読んで、名前と電話番号を入力してしまいました。翌日に電話がかかってきて、最初は4万円でいいと言われています。入金しても大丈夫でしょうか。

LINE相談者さんより

※相談者さんには許可を得て掲載しています。

もう一件、進んでしまった方からの相談もありました。

少額を入れたら画面上で増えていったので追加しました。出金しようとしたら、税金の名目でさらに払うよう言われて止まっています。

LINE相談者さんより

画面の数字が増えても、出金の段階で止まるのがこの形の共通点です。

国民生活センターの被害回復は困難という注意喚起でも、同じ流れが紹介されています。

増えているように見えるのは、相手が作った画面の中だけです。

Kaiveruに電話番号を送ってしまったときにやること

すでに情報を送ってしまった方は、進み具合で対応が変わります

まず、自分がどこまで進んだのかを確かめてください。

「参加方法」として、氏名と電話番号のみを入力し、担当者からの電話を待ち、最低金額40,000円を入金するという流れを説明した広告のページ

入力しただけなら、まだお金は動いていません。

段階ごとの対応を整理しました。

いまの状況やること
ページを見ただけ何もしなくてよい
氏名と電話番号を入力した知らない番号に出ない
担当者と話した会話の内容を記録に残す
入金してしまったカード払いならカード会社に連絡する
出金を断られている追加の入金には応じない

ここからは、追加のお金を出さないのが最優先になります。

出金するために税金や手数料を払う、という説明が来ても応じないでください。

やり取りの画面と振込の記録は、すべて残しておいてください。

どう動けばいいか分からないときは、そのまま私に送ってもらって構いません。

Kaiveruへの入金はおすすめしない|まとめ

Kaiveruは、本物のニュースを土台にして作られた広告から始まっています。

キオクシアがトヨタの時価総額を抜いたのは、実際に起きたことです。

だからこそ、その先に足された話まで本当に思えてしまいます。

日本経済新聞の題字を再現し、「キオクシアがトヨタを抜き、日本で最も時価総額の高い企業に」という見出しを掲げた偽の記事ページ

判断のもとになった事実を、もう一度並べます。

Kaiveruで確認できたこと
  • 広告は日本経済新聞を模した偽の記事
  • 実在する上場企業の社長の名前が使われている
  • 年表の上場年と時価総額が事実と違う
  • 運営会社の名前も所在地も公開されていない
  • フッターにドイツ語がそのまま残っている

氏名と電話番号を入力するところから、すでに危険です。

AIが自動で資産を増やしてくれるなら試したい、と思うのは自然なことです。

物価も上がっていますし、預金だけでは追いつかない実感もあると思います。

ただ、本物の運用会社は、日経の記事の形をした広告で客を集めません

私は、3か月で資産が13倍になるような話は持っていません。

ですが、いま提示されている条件が危ないかどうかなら、その場で見て言えます。

「電話番号を入れてしまったが、まだ入金はしていない」

「出金できないまま、追加の請求が来ている」

どちらの段階でも、やり取りの画面ごと送ってきてください。

一人で判断すると、相手の言い分しか材料がなくなります。

私自身、昔うまい話を信じて大きな借金を背負ったことがあります。

だから「今度こそ本物かもしれない」と思ってしまう気持ちは、よく分かります。

いま困っていなくても、登録だけ済ませておいてもらえれば十分です。

新しく出回りはじめた広告は、そのつどLINEで共有しています。

藤原 藤原

一言もらえれば、必ずお返事します。